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2008年 5月度 熊谷学氏 講演レポート

 2008年5月14日に開催されました独立中小企業診断士情報交換会では、熊谷中小企業診断士事務所の代表 熊谷 学さん(41歳)にお話し頂きました。


合格から独立まで
 熊谷さんは、アパレルメーカーにお勤めしながら3年掛けて、中小企業診断士を取得されました。資格取得と同時に独立を意識されていたそうです。そのため、取得後すぐに中小企業診断士受験対策本の出版チームに参加されたり、某受験学校の添削講師を副業として始めました。その当時の独立に対する考え方は、「なんとかなる」といった脳天気なものだったとのことです。
 研究会も、独立を見据えた2つのものに参加されました。元々所属していたアパレル業界の知識を活かせるファッションビジネス研究会と、この独立開業研究会です。


独立1年目
 中小企業診断士試験の合格から1年4ヶ月後の平成18年3月、熊谷さんは勤め先を退職し中小企業診断士としての独立を果たします。退職した翌日からバリバリと活動を始めたわけではなく、数日間は長い会社員生活を送ってきた自分へのねぎらいの意味も込めて、何もしないでぶらぶらしようと決めていたそうでした。ところが、その数日間のリフレッシュ期間が一日一日と長くなり、活動を開始するきっかけを失ってしまったそうです。危機感を覚えた熊谷さんは、そのきっかけを働く環境作りに求めます。事務所を辻井啓作さんが社長を務める、ともえ産業情報のオフィス内に間借りすることにしたのです。
 ともえ産業情報さん内に事務所を構えたことで、毎日出社するようになりますし、また、黙っていても、ともえ産業情報さんから仕事のオファーが入ります。ともえ産業情報さんの下請けとして、調査報告書の作成やヒアリング業務によるマーケティングリサーチを手がけます。初体験の仕事につまずいても、同じオフィス内ですので辻井さんやスタッフの方から、すぐに指導を受けることができます。その指導を丁寧に反映させた仕事ぶりは、ともえ産業情報さんのお客様からも認めら、リピートを掴み始めたということです。


 受注先は、ともえ産業情報さんだけに留まらず、熊谷さんの独特の営業スタイルによって開拓していきます。その熊谷さんのスタイルとは、手広く営業を掛けるのではなく、少人数のキーマンからの信頼関係を、持ち前の誠実さや人なつこさによって築き上げていくというものです。独立当初というと仕事が欲しくてガツガツしがちですが、熊谷さんは違いました。趣味である格闘技観戦を一緒に楽しんだり、朝まで杯を交わしたりすることに時間を惜しみません。こういうスタイルで独立開業研究会とファッションビジネス研究会の方々や、そこからつながった紹介者と接していきます。非常に狭い世界での営業活動ですのでリスクがあるようにも思えます。しかし、実際にはこの二つの研究会からつながった数人のキーマンは、熊谷さんの人格や性格を把握された上で信頼感を持って仕事を発注するようになります。発注された仕事は、持ち前の丁寧さで確実に仕事を仕上げていきます。


 すべてが初物尽くしの業務でしたが、早い段階で事前準備が業務の成否に直結することを悟り、寝る間も惜しんで事前準備を徹底されたそうです。「なんとかなる」という脳天気な思いに加え、「なんとかする」という強い意思を持ち業務に取り組んだ、とのことです。その取り組み姿勢はキーマンに確実に伝わります。一度仕事を発注したキーマンの中での熊谷さんの位置づけは、仕事を任せられる人ランキングの上位を占めるようになっていったのです。


  熊谷さんの収入は2年目で退職前の収入を大幅に超えるものになります。しかし、その報酬は多くの顧客から少しずつもたらされたのではなく、たった4人のキーマンからもたらされたものだそうです。某受験学校のテキスト作成、人事コンサルタント会社のヒューマンアセスメント業務、営業研修や創業塾の講師など、幅広い業務を1年目から経験されますが、それらは上記の様に信頼関係を獲得した4人のキーマンからもたらされたものとのことでした。
 また、初年度からコンサルティング事業も手がけられます。某中小企業支援センターの派遣専門家として経営計画の策定支援や経営革新計画支援事業に接する機会に恵まれたそうです。この仕事のきっかけも、専門化派遣制度を活用しているものの、最初のきっかけは上記4名のキーマンの内、お一人の方がもたらしてくださったそうです。


独立2年目
 2年目に入っても値段にこだわらず、とにかく業務を受ける、受けた業務には誠心誠意取り組む、という指針を持って仕事に取り組まれたそうです。1年目に受注された事業はかなり高い確率でキーマンからのリピートがあります。当然、2回目の仕事は昨年の事前準備や経験を活用できますので、昨年ほど事前準備に時間を費やす必要が無くなり効率化します。また、独立2年目にして、初の年間を通したコンサルティングに取り組む機会も得るなど、確実に業務の幅を広げていきます。
 こうして熊谷さんは独立2年目の半ばにして、特定の人からの紹介だけでも食っていけるだけの収入を得られることを実感されたそうです。ただ、そのためには先述の「事前準備」を重要視する取り組み姿勢が重要であるということです。


おわりに
 2年間を振り返ってまず思うのは、何よりも独立して食えるようになったことが最大の収穫とのことです。しかし、同時に課題としては、待ちの姿勢でも仕事をいただけるあまり、自ら仕事を創造するための働きかけが弱かったことを上げられています。また、持てる時間の全てを受注業務に投入したために、新たな知識習得に対する時間をあまりつくることができなかったことも上げられています。
 現在3年目に入りましたが、その点を意識されて月次で振り返りを行いながら、独立中小企業診断士としての業務に取り組んでいるとのことです。

以上(文責 大石幸紀)

2008年06月09日

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